規制ではなく、設計で解決するという考え方
観光地の混雑やマナー問題が話題になるたび、 「ルールを厳しくすべきだ」 「規制が必要だ」 という声が上がります。
もちろん、安全や秩序を守るためのルールは重要です。 しかし、すべてを規制で解決しようとすると、 別の歪みが生まれることも少なくありません。
規制は「抑える力」、設計は「導く力」
規制とは、 やってはいけないことを定める方法です。 一方、設計とは、 自然とそう行動したくなる流れをつくることです。
人は、禁止されると反発します。 しかし、選びやすい選択肢があれば、 無理なくそちらを選びます。
旅も同じです。 マナーを守れと言われるより、 守りやすい環境がある方が、結果は良くなります。
「置かないでください」より、「預けられます」
駅や街中で見かける注意書きの多くは、 「荷物を置かないでください」 「通行の妨げになります」 という否定の言葉です。
それは正しい指摘である一方、 代替案が示されていないことも多くあります。
荷物を置かないでと言われても、 置き場がなければ、人は困ります。 困った結果が、放置やトラブルにつながります。
設計が変わると、行動が変わる
「ここに預けられる」 「ここで身軽になれる」
そうした選択肢が、 最初から旅の動線の中に組み込まれていれば、 行動は自然と変わります。
誰かを注意する必要もなく、 罰を与える必要もありません。 ただ、流れが整っているだけです。
街に負担をかけない旅のかたち
観光は、本来、 街に活気と交流をもたらすものです。
それが負担に変わるとき、 問題は「人の多さ」ではなく、 設計の不在にあります。
旅人が悪いわけでも、 住民が排他的なわけでもありません。 両者の間をつなぐ仕組みが足りないだけです。
小さな設計が、空気を変える
大げさな制度変更でなくても、 小さな設計の積み重ねは、 街の空気を確実に変えていきます。
荷物を預ける。 身軽に歩く。 滞在を楽しむ。
その一連の流れが、 無理なく自然につながっていること。 それが、これからの旅に求められる形なのかもしれません。
